(この節は読みやすさは別にして十分整理できている。)
または とし、 を 上の内積空間 (pre-Hilbert 空間)、 をその内積とする。
の双対空間 は (位相線形空間の一般論に従って)
として定義されるが、今の場合 は
をノルムに持つノルム空間であるから、 自身
というノルムにより Banach 空間になる。
に対して、
で定義される は 上の連続線型形式である。実際、 線形性は明らかで、連続性も Schwarz の不等式から
という有界性の条件が得られて証明できる。これから が分かるが、実は等号が成り立つ:
という写像を で表す。つまり
は
のとき線型、
のとき共役線型となる。すなわち、
(7.1) から は等長写像 ( ) であるから、
となるので、 は連続かつ 対 写像である。
ここまでをまとめておこう。
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が Hilbert 空間である場合は、 は全射になる。 すなわち次の定理が成り立つ。
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特に が実 Hilbert 空間のとき、 は Hilbert 空間の同型写像である。
Riesz の定理から Hilbert 空間は反射的であることも示せる (ここでは証明略)。
次の命題もよく使われる。
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証明
任意に を固定するとき、 は 上の連続線型形式である。 これを と書くと、 という写像が定義できるが、 は明らかに共役線型である。また
であるから、 は有界でもある。 とおくと、 は二つの有界共役線型作用素の積であるから有界線型作用素であり、
となる。
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証明
とすると、 は 有界準双線型形式になるので、 上の命題を適用して、 を 満たす有界線型作用素 が存在する。
桂田 祐史