6.3 田辺

前節、前々節で特に $ n=1$ の場合に相当するのは

(6.10) $\displaystyle \frac{1}{\pi} \int_\R\frac{f(t)}{x-t}\Dt = \frac{1}{\pi}\lim_{\eps\to 0}\int_{\vert x-t\vert>\eps}\frac{f(t)}{x-t}\Dt$

である。これは、超関数 $ {\rm Pf.}1/x$ を用いると、

(6.11) $\displaystyle \pi^{-1}\left({\rm Pf.}1/x\right)\ast f$

と表される。$ f$ が一様に Hölder 連続、その台が compact ならば、

(6.12) $\displaystyle \int_{\vert x-t\vert>\eps}\frac{f(t)}{x-t}\Dt =\int_{\eps}^\infty \frac{1}{t} \{f(x-t)-f(x+t)\}\Dt$

により、(6.10) の極限は一様収束の意味で存在する。これを $ f$ Hilbert 変換 という。

$ h={\rm Pf.}1/x$ とおくとき、$ h$ の Fourier 変換は次のようになる:

(6.13) $\displaystyle ({\cal F}h)(\xi) = -(2\pi)^{-1/2} i {\,\rm sign\,}\xi$


\begin{jtheorem}\upshape
$1<p<\infty$\ とすると Hilbert 変換は $L^p(\R)$\...
...uation}
({\cal F}g)(\xi)=i({\cal F}g)(\xi)\sign \xi
\end{equation}\end{jtheorem}

桂田 祐史
2017-04-30