next up previous contents
Next: 2.3.4.2 特別な初期値に対する解 Up: 2.3.4 差分方程式の形式解の導出 Previous: 2.3.4 差分方程式の形式解の導出

2.3.4.1 $ \sin n\pi x b_n(t)$ の形の一般解

$ t$ の値を固定するごとに、$ v(x,t)$$ x$ の関数として、 $ \sin n\pi x$ で展開できる。つまり

$\displaystyle v(x,t)=\sum_{n=1} b_n(t)\sin n\pi x
$

と表わすことができる。 そして任意の $ n\in\N$ について、 $ v(x,t)=b_n(t)\sin n\pi x$ 自身が 差分方程式 $ L[v]=0$ を満たさなければならない。 実際に $ L[v]=0$ に代入すると

(2.17) $\displaystyle b_n(t+k)-2b_n(t)-b_n(t-k)=\lambda\left[-4\sin^2\frac{n\pi h}{2}\right]b_n(t)$

が得られる。

これは $ n$ をパラメーターにもつ、2階の線型差分方程式である。

一般解を求めるには、 $ b_n(t)=e^{i\beta t}$ とおいて代入すればよい。

$\displaystyle e^{i\beta (t+k)-2e^{i\beta t}+e^{i\beta(t-k)}}
= -4\sin^2\left(\frac{\beta k}{2}\right)e^{i\beta t}.
$

これから

(2.18) $\displaystyle \sin^2\left(\frac{\beta k}{2}\right) =\lambda^2\sin^2\left(\frac{n\pi h}{2}\right).$

$ \vert\lambda\vert\le 1$ とするとき、右辺は 0 以上 $ 1$ 以下の数となるので、 この方程式の解 $ \beta$ は実数となる。 最小の正の解 $ \beta$$ \beta_n$ と書こう。 すると他の $ \beta$ については、

$\displaystyle \exists\ell\in\Z$   s.t.$\displaystyle \quad
\frac{\beta k}{2}=\pm\frac{\beta_n k}{2}+\ell\pi.
$

すると、 $ e^{i\beta k}$ の値としては

$\displaystyle e^{\pm i\beta_n k}
$

の二通りしかない。

(2.19) の一般解は

  $\displaystyle b_n(t)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle C_1 e^{i\beta_n t}+C_2 e^{-i\beta_n t}$   $\displaystyle \mbox{($C_1$, $C_2$\ は任意定数)}$
    $\displaystyle =$ $\displaystyle (A \cos\beta_n t+B \sin\beta_n t)$   $\displaystyle \mbox{($A$, $B$\ は任意定数)}$$\displaystyle .$

ゆえに $ L[v]=0$ の、 $ v(x,t)=b_n\sin n\pi x$ の形をした解は

$\displaystyle v(x,t)=\sin n\pi x(A\cos\beta_n t+B\sin\beta_n t)$   $\displaystyle \mbox{($A$, $B$\ は任意定数)}$$\displaystyle .$


next up previous contents
Next: 2.3.4.2 特別な初期値に対する解 Up: 2.3.4 差分方程式の形式解の導出 Previous: 2.3.4 差分方程式の形式解の導出
Masashi Katsurada
平成14年11月29日