この節の内容は日本語では
宮寺 [2],
田辺 [5] が詳しい。
Banach 空間値関数に定理
が拡張される。
すなわち、次の定理が成り立つ。
これは定理A.1 である。
証明は宮寺 [2],
田辺 [5],
吉田 [5] を見よ。
これは定理A.2 の簡単な系である。
証明は宮寺 [2], 田辺 [5] を見よ。
この定理の結果の式は
であるが、
Banach 空間値の関数に対しては
というだけでは
の存在
は保証されない (つまり一般の Banach 空間値の関数については、
Radon-Nikodym の定理は成立しない) ことに注意する。
さて、部分積分であるが、
一般の Banach 空間では積が定義されないので、
とりあえずは次の命題を目標としよう (多分 Banach 環ならば大丈夫だと思う)。
Radon-Nikodym の定理より、
はほとんど到るところ微分可能で、
は可積分である。
また
定理 A.2
より、
はほとんど到るところ強微分可能で、
は可積分となる。
ゆえにほとんど到るところで
が成り立ち、両辺は可積分である
(右辺の各項は連続関数と可積分関数の積として可積分である)。
左辺について、
は絶対連続で、ほとんど到るところ
が存在して、
に属するので、
定理
が使えて
に等しい。
桂田 祐史
2016-12-30