1.1.2 Fredholm の業績

スウェーデンのフレドホルム (Erik Ivar Fredholm, 1866-1927, スウェーデンに生まれ、スウェーデンに没する) は、積分方程式論に 関する画期的な結果を 1900 年に ``Sur une nouvelle méthode pour la résolution du problème de Dirichlet'' という論文で発表した。

$ K\in C([a,b]\times[a,b])$ , $ f,g\in C([a,b])$ とするとき、 二つの積分方程式

(1.1) $\displaystyle u(x)+\int_a^b K(x,y)u(y)\,\D y=f(x)$   $\displaystyle \mbox{($x\in[a,b]$)}$$\displaystyle ,$    
(1.2) $\displaystyle v(x)+\int_a^b K(y,x)v(y)\,\D y=g(x)$   $\displaystyle \mbox{($x\in[a,b]$)}$    

について以下の (1), (2), (3) が成り立つ。
(1)
任意の $ f\in C([a,b])$ に対して (1.1) の解 $ u$ が存在する (いわゆる可解性) ためには、 (1.1) の右辺を 0 とおいた同次方程式が自明な解 $ u\equiv 0$ 以外に解を持たないことが必要十分である。 (1.2) についても同様のことが成り立つ。 さらに (1.1) が可解であることと、 (1.2) が可解であることは同値である。
(2)
(1.1) が可解であるとき、 (1.1), (1.2) の右辺を 0 とおいた 同次方程式の解空間の次元は有限であり、 それらは一致する。

これが Hilbert 等に与えた影響について解説しよう (要工事 -- 『応用解析II 講義ノート』にも少し書いておいたけれど)。

桂田 祐史
2017-04-30