高校で (1実変数の実数値) 関数を学ぶとき、最も強力な道具はグラフであろう。
複素変数複素数値の微分可能関数である正則関数は、
解析学の重要なテーマであるが、
3次元空間の住人である我々にはグラフを実際に描くことが出来ないため
(変数が2次元, 値が2次元なので 4 次元必要である)、
道具として使うことはできない。
正則関数を可視化するには
平面のオブジェクトの像を
平面に描く
という手法を取ることが多い。
ところがこれは言うは易く行うのは非常に面倒である。
複素関数論の授業で実行するための時間は取れないのが普通であろう。
それをやってみよう、というのが浅野君の卒研テーマである。
正則関数の等角性や、
指数関数の周期性など、
複素関数論の授業では駆け足で飛ばされがちなところをじっくりと
確かめながら進めることになる。
可視化の対象とする関数としては指数関数、三角関数を採り上げた。
何度もダメ押しをして、完成度の高い図を描いてもらった。
これは授業で使えそうなネタだな、と感じている。
この方向でがんばると、 1次分数変換とかジューコフスキー変換とか、 Schwarz-Christoffel 写像とか、楕円関数とか、色々描いてもらいたいものはあるが、 それはまた誰か後輩に挑戦してもらうことにしよう。 リーマンの写像定理とか、数値等角写像とか、リーマン面とか、 卒業研究のネタになりそうなものは色々ある。
最初の一歩、という感じのするテーマであった。