まず の定義式からすぐに分かることを調べてみよう。 ここに書いてあることを理解するには複素関数論の (ごくごく初歩的な) 知識があればよい6。
(1) の の部分は いわゆる のベキ級数であり、その収束半径は (後で示すように) であるから、複素平面 全体で正則な関数 (整関数と呼ぶのであった) を与える。 例えば導関数を求めたい場合は、単に項別微分すればよい。
ところが、 一見簡単そうに見える の部分が要注意である。 が 0 以上の整数でないとき、この式は
のように解釈すべきものであり、 これは一般には整関数にはならないことを覚えているであろうか? 複素関数論の授業では、 や、 という関数について学んだはずである。 としていわゆる主値を取ると、 から負軸を除いた領域7
で一価正則な関数を得ることができる。 特に のとき、 任意の に対して となる。 また ならば にも普通に意味がつけられる:
この Bessel 関数をどのように導入し、 その性質を調べて行くかについては、 実は色々な流儀があるが、 この文書では、 (桂田研学生にとっての) 後の応用を考慮して、 微分方程式を基礎として話を進めることにする。
身もふたもないまとめ |
任意の に対して、 は (負軸を除いた領域) で正則である。 特に が 0 以上の整数であるときは、 は 全体で正則である。 |
桂田 祐史